【タイトル】 夏だ!気合いだ!根性見せろ!〜宝探し?編〜
【執筆ライター】 安曇あずみ
【参加予定人数】 1人〜5人
オープニング /ライターより /共通ノベル /個別ノベル


●「海キャンプ」 オープニング

 白い砂浜青い空。すでにもうお約束のパターン。
海キャンプにやってきた生徒達は、それぞれ青春を謳歌していた。
ビーチバレーをする者、泳ぐ速さや距離を競う者…様々である。
「神城さんは泳がないの?」
「……まだやる事があるから」
 砂浜のパラソルの下で、夜のキャンプファイアの予定を確認していた2-Cの神城由紀は、
3-Bの新堂愛輔からの誘いを断って黙々と作業を続ける。
にぎやかに海に飛び込みたい気分な愛輔は少し残念そうにとぼとぼと海へと向かった。
「新堂君」
「はい?」
 砂を蹴りながら歩いていた愛輔に、ふと誰かが声をかける。
顔を上げるとそこには生徒会長の繭神・陽一郎が立っていた。
「生徒会長っ!あのっ…」
「きみは確かレクリエーション愛好会をやっていたね?」
「あ、はいっ!生徒会ではいつもお世話になってます!」
「頼みがあるんだ…これと同じものを探して持ってきて欲しい」
 そう言って、陽一郎は小さな宝石のようなものを差し出して見せた。
石の中にまるで発光体の何かがいるかのようにゆらゆらと輝く淡い光。
綺麗だ…と思うと同時に手を伸ばしそうになった愛輔だったのだが、
それより先に陽一郎がさっと手を引っ込めて石をポケットの中へと仕舞った。
「きみは顔も広いと聞いている…なるべく多く見つけて欲しいんだが」
「え…あ、はいっ!生徒会長直々のお願いですから!もちろんOKですっ!!」
 元気良く答える愛輔に、陽一郎は小さく笑みを浮かべると、
今度は別のポケットから先ほどの石に良く似たものを差し出した。
「これはレプリカなんだ…これを参考にして探して欲しい」
「わかりましたっ!たくさん見つけてお届けしますっ!」
 愛輔は両手でレプリカを受け取ると、すぐに駆け出した。
一瞬、「どうして生徒会長が石集めするんだろう」と言う疑問が脳裏を過ったのだが、
そこはそれ…能天気と言うか細かい事を気にしない主義の彼だけあって、
過っただけで留まる事は無いまま流れ去っていったのだった。



「って事なんだけど、一緒に手伝ってくれない?」
 愛輔は皆の元に来るなり、開口一番そう告げたのだった。




●ライターより


プレイングにて探す場所を選んでください。
選択した場所によって遭遇する展開が違ってきますので展開にあわせてのプレイングをお願いします。
選択した場所が同じ生徒さん同士での捜索になります。
(全員が同じ場合は全員でそこを捜索、バラバラの場合は個別に捜索します。)
::
<探す場所>
1)海中&海底←海の中。潜水可能な範囲。
=得体の知れない海の生き物(イカとタコを足して割ったような奴)に遭遇します。
敵意は無いようですが餌と思われているかも…?

2)砂浜←生徒達がテントを張ったりしている。
=生徒たちと掛け合いや交流をしつつ捜索活動。
何が起こるかは生徒さん次第…☆(シチュエーション指定のような感じになります。)

3)岩場←キャンプしている砂浜から少し遠い。
=月神・詠子(公式NPC)がぽつんと座って居ます。
悩み事でもあるのか深刻そうな浮かない顔をしているようだが…?
:::
基本的にこのノベルで物語の真相にたどり着くという事はありません。触れる程度です。

捜索中の様子を個別パートで、集合時の様子を共通パートで執筆する予定です。

<ライターNPCの参考:東京怪談〜異界〜>
「神城便利屋」



●【共通ノベル】

■プロローグ:生徒会長からの…

 白い砂浜青い空。すでにもうお約束のパターン。
海キャンプにやってきた生徒達は、それぞれ青春を謳歌していた。
ビーチバレーをする者、泳ぐ速さや距離を競う者…様々である。
「神城さんは泳がないの?」
「……まだやる事があるから」
 砂浜のパラソルの下で、夜のキャンプファイアの予定を確認していた2-Cの神城由紀は、
3-Bの新堂愛輔からの誘いを断って黙々と作業を続ける。
にぎやかに海に飛び込みたい気分な愛輔は少し残念そうにとぼとぼと海へと向かった。
「新堂君」
「はい?」
 砂を蹴りながら歩いていた愛輔に、ふと誰かが声をかける。
顔を上げるとそこには生徒会長の繭神・陽一郎が立っていた。
「生徒会長っ!あのっ…」
「きみは確かレクリエーション愛好会をやっていたね?」
「あ、はいっ!生徒会ではいつもお世話になってます!」
「頼みがあるんだ…これと同じものを探して持ってきて欲しい」
 そう言って、陽一郎は小さな宝石のようなものを差し出して見せた。
石の中にまるで発光体の何かがいるかのようにゆらゆらと輝く淡い光。
綺麗だ…と思うと同時に手を伸ばしそうになった愛輔だったのだが、
それより先に陽一郎がさっと手を引っ込めて石をポケットの中へと仕舞った。
「きみは顔も広いと聞いている…なるべく多く見つけて欲しいんだが」
「え…あ、はいっ!生徒会長直々のお願いですから!もちろんOKですっ!!」
 元気良く答える愛輔に、陽一郎は小さく笑みを浮かべると、
今度は別のポケットから先ほどの石に良く似たものを差し出した。
「これはレプリカなんだ…これを参考にして探して欲しい」
「わかりましたっ!たくさん見つけてお届けしますっ!」
 愛輔は両手でレプリカを受け取ると、すぐに駆け出した。
一瞬、「どうして生徒会長が石集めするんだろう」と言う疑問が脳裏を過ったのだが、
そこはそれ…能天気と言うか細かい事を気にしない主義の彼だけあって、
過っただけで留まる事は無いまま流れ去っていったのだった。


■エピソード1:新堂愛輔からの…

「って事なんだけど、一緒に手伝ってくれない?」
 愛輔は皆の元に来るなり、開口一番そう告げたのだった。
「…別にそれは構わないんですけど…」
 パラソルの下で、キャンプファイア準備の手伝いをしていた数藤・明日奈は少し不思議そうに小さく首を傾げながら愛輔を見上げる。
今日は行事の手伝いに忙しい事もあり、元々泳ぐ予定にはしていないらしく、水着は着用していないらしい。
その隣に座っている由紀も、明日奈の言いたい事がわかったのか、「どうして生徒会長がそんな事を?」と続けざまに問いかけた。
「僕もそこが少し気になりますね…」
 直接、キャンプファイア実行委員会に関係は無いものの、
明日奈の手伝いにと来ていた橘・都昏は、ロウソクの本数を数えていた手を止めて顔を上げた。
「う。えっと…それがその辺の細かい理由は聞いてないって言うか…」
「頼みますよ新堂先輩?理由も聞かずに引き受けたんですか?」
「そこはそれ、新堂サンのことですからねぇ…」
 いつの間にやって来ていたのか、冠城・琉人がペットボトルのお茶を手に愛輔の背後に立ち声をかける。
こんがりと小麦色に焼けた肌とさわやかな金色の髪が太陽光にまぶしく輝いている。
「そうそう…新堂(コイツ)にまともな行動を期待するだけ無駄だって!」
 海の家で売られていたらしいカキ氷を両手に持ったまま、その背後からひょいと顔を覗かせたのは鈴森・鎮。
都昏と明日奈、由紀たちに差し入れを買いに行って帰ってきたところだった。
「ひどいな〜…僕もいつもならちゃんとしてるんだよー?たまたま今回は聞き忘れただけで」
「キミの事だからどうせ生徒会長に声をかけてもらって舞い上がっていたんだろう?」
「そうそう…めったにそんな事無いから……ってうわっ!さ、西王寺君!」
 そこはかとないバラの香りを漂わせ、炎天下の下にいるくせに汗一つ流さずに、南国風に薔薇の柄が入ったアロハを着て、
涼しい顔でパラソルへとやって来たのは西王寺・莱眞。今日は朝から女子生徒のいるパラソルを渡り歩いているらしく…。
「410番君。何度も言うようだけれど、俺のことは”会長”と呼ぶように」
「うっ…は、はいっ!」
「会長って…西王寺先輩は何か会を運営していらっしゃるんですか?」
「いい質問だね?レディ…素敵なその長い髪…美しい肌…その瞳はさながら砂浜に咲く可憐な一輪の、花…その花の名を知りたいな?」
「えっ?あ、あの…私…2年の数藤と…」
「それで!西王寺先輩はこちらへ何をしにいらしたんですか?」
 明日奈が答えようとしたのを遮るように、都昏が少し強い口調で莱眞に声をかける。
「数藤さん…だね?出来ればその花のもう一つの別名も知りたいな…?」
 しかし、莱眞は見事なまでにそれを無視して明日奈へと微笑みかけた。
ここで忘れてはいけないのは、決して悪意から都昏を無視をしているわけではないのが莱眞である。
彼にとってはよほど意識しない限り、男はアウトオブ眼中…要するに、視界にすら入らないのである。
「あ、私…数藤…明日奈と申します」
「明日奈さん…俺の心に心地よく響く名前…素敵な花をありがとう」
 莱眞は明日奈の手を取ると、軽くキスをする真似をしてニッコリと微笑みかけた。
面白くないのは都昏である。莱眞という人間は学園でも有名であり、どういう人柄なのかと言う事は知っているものの、
実際、自分の想い人にこういう行動を目の前でされると言うのは…
「ふっふっふっ…♪若いねえ…青春だねえ…都昏!」
「か、からかうな…鈴森!」
「大丈夫だって!ああ見えて莱眞先輩(あのひと)ってけっこう真面目だし!」
「そうですよ〜女性に対しては誰にでも優しい…あんな感じに接してますから。ご安心ください」
「か、冠城先輩?!安心って…べ、別に僕は…そんなつもりは…」
「フフフフ…青春っていいですねえ♪いいですか?青春はですね、太陽がくれた季節なんです!燃えるんです!」
 実に楽しそうにクラスメイトをからかう鎮と、それに便乗する先輩の琉人。
その真ん中で、心配そうに明日奈の様子を見つめつつも、顔を赤く染める都昏なのだった。



「で!話を戻すけど…!出来ればここにいるみんなに手伝って欲しいんだ!」
 なんだかんだで話が別の方向へと流れ始めたのを、愛輔は軌道修正するために大声をあげる。
いつの間にか目の前では鎮の買ってきたかき氷の食べ合い大会がはじまっていたのだが、
全員、しぶしぶと言った風に彼に視線を向けた。
「私は別に構いませんよ?ちょうど暇でしたし」
 宇治金時かき氷を食べて、舌を邪悪な緑色に染めた琉人がニッコリと微笑む。
「あの…私も新堂先輩にはお世話になっていますし…生徒会長が困っていらっしゃるのなら」
「明日奈さんが手伝うのなら僕もお手伝いしますよ」
 続いて、明日奈と都昏も応える。
「仕方ないなあ〜?どうせ俺がいないとダメだろうし!」
「女性ならともかく男の頼みなんてどうでもいいんだけどね…他ならぬ410番君の頼みだ」
 乗り気な鎮に大して、思いっきりしぶしぶと重く腰を上げる莱眞。
とりあえずの所は、これで全員手伝いOKと言う事になる。
「ありがとう!みんなありがとうっ!持つべきものは友達だよね!!うん!!」
 愛輔は全員の手を両手でしっかり握り、上下に振りながら何度も頭を下げる。
そして周囲を見渡してから、あらためて全員に視線を戻し。
「全員で同じ場所を探すのも効率悪いよね…けっこう広いし…
えっと、あっちの岩場の方と、ビーチと、海の三班にわかれて行動しよう!うん!」
 ニコニコと笑顔なのは良いが…どうにも動きやら言動が子供っぽく、都昏はしみじみとその様子を見つめ…
「……なんだか先輩のような気がしないな…」
「何を今更。俺なんか先輩だなんて思ってないし!それより…さー行くぞ都昏♪俺と一緒に海へGOだ!」
「え?ち、ちょっと待て鈴森…!そんな勝手に…」
「こらこら待ちなさい鎮クン!そんな事は野暮と言うものですよ?」
「へ…?あ、ああ!そうかそうか!悪ぃ!そりゃあそうだよな」
 ニヤリとした笑顔の琉人と鎮に見送られながら、明日奈と都昏は2人揃って逃げるように岩場へ向かったのだった。
「チッ…じゃあ…冠城さん!俺と海に行こうぜ!」
「了解しました♪ええ、実は私も元々海に行こうと思ってましたから…」
 鎮は羽織っていたパーカーを脱ぎ捨てると、水中眼鏡と手に取り気合いを入れる。
琉人はペットボトルのお茶とシュノーケルを手にすると、降り注ぐ太陽を見上げた。
「西王寺先輩はどうするんですか?」
「そうだね…俺はこの砂浜でレディ達のお手伝いをしながら探させてもらおうかな?」
「よーっし!じゃあ僕も砂浜担当で!神城さんは本部待機ってことでどう?」
「ええ。いいですよ」
 愛輔の問いに由紀が快諾した事で、明日奈&都昏の岩場探索班、鎮&琉人の海中探索班、
莱眞&愛輔の砂浜探索班が結成され…それぞれの探索場所へと散って行った。
本部は由紀のいるキャンプファイア実行委員会のパラソル。
一時間後に一度集合の後、様子を見てその後の計画を立てるという事になっていた。
 果たしてその一時間の間にどのような出来事が彼らの前に立ちはだかるのだろうか?
そして生徒会長から託された不思議な石を見つけることは出来るのだろうか?


■エピソード2:それぞれの…

 六人は自分たちの担当した場所にて、死力を尽くしての捜索を開始した。
そして、それぞれの場所でそれぞれのエピソードに出会うのだった…。

⇒⇒⇒個別ノベルへ続く…


■エピソード3:終わってみんなの…


 夕日が水平線へと沈む準備を始めた頃、砂浜ではキャンプファイアの準備も始まっていた。
海で遊んでいる者もまだいくらかはいるものの、だいたいの生徒や教師達は、
それぞれの出し物の準備や、夕食のバーベキューの準備に追われて走り回っている。
と言っても、まああらかたの準備は実行委員会が終えているわけで、
それ以外の用の無い生徒達は砂浜で思い思いの場所でまったりしたり青春したりして時間を過ごしていた。
 そして、”生徒会長の石探索隊(愛輔命名)”の者達も、浜辺に用意した椅子に座ってまったりしていた。
「皆のお陰で石も集まったし…後は生徒会長に届ければ終了、だね!お疲れ様!」
「それなりに楽しい時間を過ごさせていたきました♪」
「ほんとにな!新しい出会いもあったしさ!まさに未知との遭遇!」
 ニコニコと笑顔な琉人と鎮の背後には、正体不明のタコとイカの合成体のようなモノが蠢いている。
そのくせ、その物体には妙に表情があり『俺もいい思い出になったぜ』とでも言っていそうな顔をしている。
はっきり言って女の子にはウケは宜しくないようで、明日奈も由紀もかなり遠巻きに見つめていた。
「石が集まってみて改めて思うんですが…この石には何かありそうな気がします」
「ええ?そうなの?僕にはわかんないんだけど…何かってなにが?」
「いや…なにがと聞かれても僕にもそれはわからないんですが…少し気になるだけで」
「あの、私も気になる事もありました…月神さんが石を集めているのを見て逃げるようにどこかへ行ってしまって…」
「月神さんですか…ん?そう言えばお2人は岩場に行ってらしたんですよねぇ…?」
「そうそう!若い男女が岩場に…2人っきりで…青春の海辺で…」
 ニッコリとと言うよりは、ニッタリと絵に描いたような表情で、琉人と鎮は実に楽しそうに2人に視線を向ける。
何を言うわけでもないのだが、都昏と明日奈はとたんに顔がぱっと赤く染まり、その反応が余計に琉人と鎮の好奇心に灯をつけた。
「真っ赤だぜ真っ赤ー!!都昏テメー何したんだよー!」
「ば…馬鹿っ!何言ってる…別に何も…っ…これは夕日が顔に…」
「そ、そうですっ…私たち、石を探してただけですからっ…!」
「数藤サンまで必死になってるところがアヤシイですねぇ〜…♪」
 言えば言うほど真っ赤になって否定する2人が楽しくて、さらに言う2人。
何故かあの軟体動物までが一緒になって妙な動きをしながらからかい始める始末である。
「なんだかにぎやかだねえ…もう少し静かに夕日を眺めていればいいのに」
「莱眞さんは何かありましたか?」
「そうだね…今日一日で色々なレディ達と話が出来たよ…普段はあまり話の出来ない後輩とも、ね?
楽しい時間を過ごさせてもらったよ…ああ、でも一つだけ心残りがあるんだ…」
「心残り?」
「キミとも、ゆっくり話をしてみたかったんだ…由紀ちゃん」
 莱眞は砂浜で拾った貝殻を差し出して優しく微笑む。
「白いこの貝殻はとてもキミに似合いそうだと思って拾っておいたんだよ」
「あ、ありがとうございます…えっと…私…」
「今度どこかで加工してもらってピアスにでもしてもらおうかな…?」
「いえ…貝殻のままでも綺麗だから…家に置いておきます」
 由紀は白い貝を受け取り、ぺこりと頭を下げて微笑み返す。
微笑み合う2人の間には恋人でもなく友人でもなさそうな、不思議な雰囲気が流れて行く。
しかし見た目には恋人同士の語らいにも見え、その様子を見逃すはずのない者が約2名ほどいたりして…
「今度はこっちでカップル誕生かよー!」
「いや〜!由紀サンも西王寺サンもそんな仲だったとは…!」
「な、何言ってるんですか!?違いますよ!」
「由紀ちゃん…必死に否定すると逆効果です…」
 疲れた顔の明日奈が、苦笑いを浮かべながら由紀に忠告する。
何故か恋愛ごとで俄然盛り上がっていた面々だったのだが、近づく気配すら感じさせず、
突然彼らの目の前に現れた人物に驚き、一瞬でしんと静まり返る。
それは今回の事を愛輔に頼んだ本人である生徒会長の繭神だった。
「―――新堂君…見つけて来てくれたみたいだね」
「あ、はいっ!ここに…見つけられただけで全部です」
 コンビニの袋を繭神に渡すと、静かにそれを受け取り中身を確認する。
その中の一つを取り出し、目の前でかざす様にして見つめながら…
「これでもうすぐ封印の石は揃う…あと少しだ」
小さく、無意識のうちにそう呟いていた。
 皆、何の事なのか脳裏に疑問は浮かんだものの、どういう意味?と、問い返せるような雰囲気でもなく、
ただ黙ったままでじっと生徒会長の動きを見つめていた。
繭神は石を自分の持っていた和裁の巾着袋のようなものの中に石を映し返すと、コンビニ袋を愛輔に返し、
「ありがとう…時間を使わせて済まなかったね…今夜は楽しんでくれ」
「え、あ、はい!ありがとうございます!」
「この礼は…”その時”が来てもし君たちに危害が及ぶ事が無いように最善を尽くすよ」
「え?」
 再び、謎めいた言葉を残して繭神は去っていく。
残った面々は互いの顔を見つめながら、一体何の事なのだろうと一様に首を捻っていた。
しかし、この話題はそれ以上発展する事はなかった。
何故なら…盛大なキャンプファイア大会の幕開けを告げる花火が上がったから、である。
「おーっし!!食うぞバーベキュー!遊ぶぞゲーム!」
「飲みますよ麦茶、緑茶、紅茶、ウーロン茶、抹茶!」
「明日奈さん、僕らも行きましょうか」
「そうですね…ダンスパーティもあるみたい…」
「さて…ではそろそろ俺もレディ達の輪の中へと向かう事にしようか」
 皆、口々に呟きながら大きな火を中心とした輪の中へと入っていく。
愛輔と由紀はそれを見送った後、自分たちもそれぞれの担当場所へと向かう。
 結局、海キャンプ中では生徒会長が石を集めて何をしたかったのか、
何に使うのかは誰からも情報を得る事は出来ないまま終焉を迎えたのだった。





〜終〜 


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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1年A組
【2320/鈴森・鎮(すずもり・しず)/男性】
【2576/橘・都昏(たちばな・つぐれ)/男性】
2年B組
【3199/数藤・明日奈(すどう・あすな)/女性】
2年C組
【2209/冠城・琉人(かぶらぎ・りゅうと)/男性】
【NPC/神城・由紀(かみしろ・ゆき)/女性】
3年A組
【2441/西王寺・莱眞(さいおうじ・らいま)/男性】
3年B組
【NPC/新堂・愛輔(しんどう・あいすけ)/男性】



●【個別ノベル】

【2320/鈴森・鎮】
【2576/橘・都昏】
【3199/数藤・明日奈】
【2209/冠城・琉人】
【2441/西王寺・莱眞】