●「学園祭」 オープニング
前世占い、など今時よく通ったものだと2年B組の、とある男子生徒───紫藤・聖治(しどう・せいじ)はふああと欠伸をする。
自分には、少しだけ「人の前世の欠片」が見える能力がある、というだけなのに。こんなもの何の特にもなりはしない、と考えていた。それが、こういうことに使われることになろうとは。
結構、客が入っている。女子生徒がやはり多いが、男子生徒も結構いることに彼は驚いていた。
特に目立つ衣装は、彼は着ていなかった。ただ、クラス委員に「せっかくの学園祭だから」と、美形なかれをいいことに土台にして、宛らドラキュラ伯爵のような黒マントは制服シャツの上に羽織らされてあった。
それがまた異様に似合うことが、微妙な心境になるのだ。
客は、まるで洋服屋にある試着室のような四方を黒幕で覆って作られた一室に入り、そこに座っている紫藤聖治と握手のように手を繋ぐ。それだけで、聖治には相手の前世の断片が見えてくるのだ。
「はい、次の方どうぞー」
半分やる気のない声で、聖治は次の客を呼んだ。いい加減自分も見て回りたい。そんな彼の気持ちもよそに、その女子生徒───月神・詠子(つきがみ・えいこ)は入ってきた。
スッ、と手を出してくる。何故か、表情は苦しげで哀しげだった。
「ボクの前世───占ってよ」
聖治は一瞬何か感じ取ろうとしたが、彼女のその声で我に返る。
「あ、ああ」
そして、出されていた手を握った、その瞬間。
聖治の脳に直接、強烈な映像(ビジョン)が流れ込んできた。いけない、これは───!
「みんな逃げろっ!」
ありったけの声を絞り出し、聖治は詠子を突き飛ばそうとした。うまくいったか分からない。
聖治は「強すぎる、強烈過ぎる前世」を見ると、たまにこうして能力が暴走し、その相手の前世そのものを「現世に持ってきてしまう」のだ。いや、「持ってきてしまう」というより、「映像そのものを取り込んでしまう」だけにすぎないから、実害はあるとすれば、「現世の世界が見えない」ということだけなのだが、下手をすれば、精神感応が強い者にとっては、頭痛が続き、このままにしておけば狂ってしまうこともあり得た。
「畜生、どうしたら───」
しかし、聖治はその言葉を紡ぐよりも、その「詠子の前世」を見て驚愕のため目を見開いていた。
●ライターより
▲今回は、いよいよシリーズ化していた「懐かしの未来」の最終章です。色々と考えていましたが、「学園祭」を最後にしようと考えました。今回は、必ず書いてきて頂きたいことがありますので、ご注意くださいませ。
1.参加するPCの「前世」(こんな前世だったんだろうな、程度の気持ちで構いません)を書いて下さい。一行程度で、あとはお任せというのでも構いません。例:「前世は江戸時代の浪人でこういうことがあってこういう死に方をした」等。但し、シリアスのみです。※但し、前回のシリーズにご参加なさって既に「PCの前世」を見終わっている方は、書かなくても構いません。こちらが調べて参考にさせて頂きます。勿論、同じ事を一行に縮めて書いたり補足したりしても構いません。
2.紫藤・聖治が月神・詠子と「接触」して起きたこの現象に対し、自分ならどういう行動をとるかというのをお書き下さい。
▲以上の2点が、必ず書いて頂きたいことです。あとは自由に、プレイングして下さって構いません。
▲また、NPCとして、他に繭神・陽一郎(まゆがみ・よういちろう)等も出ることもありますので、ご了承ください。
▲人数は固定してありますが、お友達も参加したいなどありましたら、プレイングに一言添えて頂ければ考慮しますので、是非皆さんでご参加ください☆
▲プレイングは出来るだけ、キャラになりきって書いて頂けますよう、お願い致します<(_ _)>
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