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ゴーストネットOFF。それは、“怪奇大好き少女”瀬名・雫(せな・しずく)の作ったホームページ。
関東一の規模を誇っており、東京を中心に日本各地から怪奇現象の情報が集まってくる。
瀬名雫は、近所のインターネットカフェで、友達と一緒にそのページを見る事が多かった。とはいえ、今日はまだ一人‥‥まあ、後から誰かが来るだろう。
なお、瀬名雫が根城にしているこのインターネットカフェを、ゴーストネットOFFという名だと間違える者も多いが実際には違う。
ともかく、ページを確認する雫‥‥HPの管理や更新が目的ではない。それは、家でする。目的は、このページの人気コーナーだった。
「あるある‥‥今日もたくさん、ありがとう〜☆ さあ、どれから読もうかなぁ‥‥」
パスワードを入力し、管理ページに入った雫は、画面に並んだ投稿情報を見て瞳を輝かせる。
投稿情報を元に怪奇現象の真偽を確かめるコーナー‥‥それが、雫のホームページの中で最も人気があった。
もっとも、投稿には嘘や創作、追跡不可能なものも多く、また真相は闇に葬った方が良い場合もあるので、実際に真相が明らかにされるるのは全体の一割に満たない。それでも、投稿されたちょっとした体験が、大きな事件の前触れだった‥‥などという事もあり、このコーナーを楽しみにするファンは非常に多いのだ。
「ああっ、どうしよう☆ こんなにいっぱい、調べられなぁーい☆」
雫は喜色満面で声を上げる。
投稿はかなりの数になるため、調べようにも雫一人では手が足りない。だが、その手助けをしてくれる人は、雫の周りにいてくれていた。
「‥‥あ」
雫は、インターネットカフェの入り口の自動ドアが開く気配を感じ、モニターから顔を上げる。そして、そこに見知った顔を見つけ、席を立った。
周りに迷惑をかけないよう、黙って大きく手を振って自分の居場所を示す雫。輝く笑顔が、いつも通り歓迎の意志を示していた。
[看板イラスト:天神うめまる]
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